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あなたを全力で肯定する言葉【第13回】「モテない男です。」|ひきたよしあき

2023年3月28日

私たちは、常に評価の目に晒されて暮らしています。「いいね!」という言葉にも、「おまえを評価してやる」という意味が含まれています。人間関係が希薄になる中で、裁きの目を浴びている。今、あなたに必要なのは、あなた自身を全力で肯定する言葉です。私はコミュニケーション・コンサルタントとして、小学生から政治家までを「言葉の力」で応援してきました。現場で培ったノウハウで、エールを送りたい。あなたを、丸ごと、全力で肯定します。

【第13回】「モテない男です。」

人生でモテたことがありません。これからもないと思います。見た目にはそれなりに気を付けているし、女性と話せないわけではありませんが、女性からはイジられたりするほうが多いです。自分には魅力がないのでしょうか。だんだん女性にバカにされているような気分になってしまいます。男として、モテない人生なんてつまらないですよね。
(茂木 26歳)

 

茂木さん、メッセージ、ありがとうございます。

これは私が教えている大阪芸術大学の話です。
放送学科の学生に「恋愛ドラマを面白くする方法」という課題でレポートを書かせたあと、みんなで討議しました。

ほぼ80%の男女が、恋愛ドラマに否定的。
中には、恋愛そのものに「いらない」と答える子がいて驚きました。

「誰がそんな恋愛を理想と決めたのだ」
「ハッピーエンドで終わることなどない」
「なぜ、いつも男女なんだ?その枠がつまらない」
「キラキラした部屋、広すぎるオフィス。アホか」
「カップルを監視カメラで追っかけた方が面白い」
「理解できない。恋愛感情というものがわからない」
「3、4年、恋愛ドラマの放送をやめたらどうか」
「使える展開をこすり倒して新鮮味がない」
「空白期間のうちに新しい恋愛の形態が生まれるかも」
「小4くらいの、男女の体がはっきりしていない頃の恋愛を描くべきだと思う。体がはっきりしてからは性愛ばかりだからドラマでは限界がある」

どこまで読んでも、肯定的な意見がでてきません。
でてきたとしても「韓国ドラマは、現実と離れているから笑える」といったシニカルなもの。

結局、この講義で、今の大学3年生が語ったのは、「型にはまった理想の恋愛のどこが面白いんだ?」ということ。
毎週、テレビの恋愛ドラマを楽しみにしていた私には、隔世の感がありました。

もちろん、これは一大学の講義でしかありません。
日本人全体がこう考えているわけではないでしょう。
しかし、コロナを経験し、SNSがここまで発達し、お見合いに変わって「マッチングアプリ」がこれだけ興隆な現在、過去の恋愛、モテる、モテないという基準も大きく変わっているように思うんです。

「推し」というモテ

学生は、好きな人と言わず、「推し」と言います。
「私の推しは、女なんですけど、中学からの親友で……」と女子学生が言ってくる。
「女ですけど」といちいち断るのがミソで、「推し」には「異性」も「同性」もある。
だから、最終的に結ばれることよりも、「相手が幸せになることを応援できれば、それでいい」と言う。
元はといえばアイドルに使われていた「推し」が普段の生活に入ってきた。
これはコロナ禍で「ソーシャルディスタンス」が浸透しすぎた結果ではないかという説もあります。
理由は明確ではありません。
しかしバーチャル空間がこれだけ支配する中で、リアルな肉体が随分、希薄になっているのは事実のようです。

と、長々と書いてきました。
それは、ちょっと茂木さんの「女性にモテたい」という気持ちを見つめ直してもらいたいと考えたからです。

「モテる」「モテない」って、実は今、いろんな価値基準があるのではないでしょうか。
茂木さんは「モテない」と決めつけています。
でも、それって、昔ながらの枠にはまったものではない?
自分がリアルに暮らしている場所、仕事、世代、自分の過去の経験に囚われすぎていませんか?
型にはまった理想を求め、型にはまった目で女性の視線を感じていませんか。

今の学生たちを見ていると、人が人を好きになるって、もっと自由でいいんだ、「モテる」という基準はもっと色々あるんだ! という気がしてくるのです。

モテたいから離れる

もちろん、中には「モテたいオーラ」を全面に出している男子学生がいます。
服装も目つきも明らかに「モテたいオーラ」を発しています。
彼を見て、女子は、「痛い」「こじれた中二病」などと言います。
ひどい言い方ですが、これは大学生に限った話ではありません。
私の教え子だった、現在アラサー前後の女性たちも「モテたいオーラ」に対しては否定的。
理由を聞くと「YouTubeを見れば、もっとモテたいオーラいっぱい出した面白い人がたくさんいる。中途半端なのは痛い」
なんて言います。
そう、日常では知り得ない人を簡単に見ることのできるメディアの発達によって、中途半端な「モテたいオーラ」は痛いと感じられてしまうんです。

「だったら、どうすればいいんだよ!」
という茂木さんの怒りの声が聞こえてきそうです。

結論を急ぎましょう。
それは、茂木さんが感じている女性の目や「モテない人生」から一度離れてみる。
「モテない」というのは、半分以上、茂木さんのバイアスのかかった見方に思えるからです。

世の中にはもっと色々な恋愛形態があり、モテのかたちがあります。

私の友人で、一年に一度、イタリアにオリーブを摘みにいく男がいます。
普通に生活をしているのですが、その時ばかりは、イタリアの太陽の下で、オリーブを摘み、オリーブ油にして持ち帰ってくる。

それだけのことですが、モテます。
いや、尊敬されています。
「異性にモテたい」よりも大切なもの、好きなものがある。
そういう匂いを発散した瞬間に、「推し」が増えます。

茂木さんのメッセージを読むと、女性にいじられたり、バカにされたような気分を感じるとありますが、それは茂木さんが、茂木さんの尺度から見た女性の目を気にしすぎているからではないでしょうか。
価値観が変化し、リアルとバーチャルが生活空間になり、ありとあらゆる人の姿を見ることが可能になった現在。
人の目を気にして生きるよりも、自分の熱中できるもの、茂木さんなりのオリーブを探し求めるべきです。
モテないという意識から少し離れて好きなことを始めた瞬間に、枠にはまった「モテる」「モテない」から解放されますよ。

茂木さん、応援しています。
何かを楽しんでいる茂木さんに、尊敬の目が集まり、「推す」人が増えることを祈っています。

茂木さん、ありがとうございました。

ひきたよしあき

コミュニケーションコンサルタント、コラムニスト、(株)SmileWords 代表取締役。博報堂でCMプランナー、クリエーティブディレクターとして数々のCM制作を手がける。政治、行政、大手企業のスピーチライターとしても活動。2022年より大阪芸術大学放送学科客員教授。主な著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』(三笠書房)、『大勢の中のあなた へ』(朝日学生新聞社)、『人を追い詰める話し方 心をラクにする話し方』(日経BP)など。

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(イラスト 江夏潤一)

連載一覧

  • 第1回 あなたを全力で肯定する理由
  • 第2回 私は自己肯定感が低いです。
  • 第3回 コミュ障です。
  • 第4回 コスパの悪い人間です。
  • 第5回 ダメ上司です。
  • 第6回 本気で人を好きになれません。
  • 第7回 夢がありません。
  • 第8回 若い子には勝てません。
  • 第9回 社畜です。
  • 第10回 不寛容な人間です。
  • 第11回 老害でしょうか。
  • 第12回 母親失格です。
  • 第13回 モテない男です。
  • 第14回 口下手です。
  • 第15回 都合の良い女です。
  • 第16回 ネガティブ思考です。

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