• お知らせ
  • 特集
  • 連載
    • マグラブ
    • あなたを全力で肯定する言葉
    • 家にいるのに“やっぱり”家に帰りたい
    • 本屋さんの話をしよう
  • Twitter
  • 運営会社
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー

コレカラ

  • お知らせ
  • 連載
  • 特集
  • Twitter
  1. TOP >
  2. 連載 >
  3. あなたを全力で肯定する言葉 >

あなたを全力で肯定する言葉【第15回】「都合の良い女です。」|ひきたよしあき

2023年4月18日

私たちは、常に評価の目に晒されて暮らしています。「いいね!」という言葉にも、「おまえを評価してやる」という意味が含まれています。人間関係が希薄になる中で、裁きの目を浴びている。今、あなたに必要なのは、あなた自身を全力で肯定する言葉です。私はコミュニケーション・コンサルタントとして、小学生から政治家までを「言葉の力」で応援してきました。現場で培ったノウハウで、エールを送りたい。あなたを、丸ごと、全力で肯定します。

【第15回】「都合の良い女です。」

色恋の話ではありません。共働き夫婦で子どもがいます。基本的に私のワンオペ育児で生活が成り立っており、炊事に洗濯、掃除など家事全般、子どもの学校関連はすべて私が担っています。事前に夫婦間で分担の取り決めをしなかったのが失敗だったと思います。私が「もうやらない」と言えば、夫もやってくれるかも
しれませんが、結局私がやったほうが早いし、面倒なので言いません。ご飯はおいしそうに食べるし、休日の運転はお任せしているし、まあ私が我慢すればいいか。それで丸く収まりますよね。
(都合良子 45歳)

 

都合良子さん、メッセージありがとうございます。

良子さん! がんばり過ぎですよぉ!
「夫がやってくれるかもしれない」ならば、多少遅くても、下手でも任せる機会を増やした方がいいですよ。
秒単位でも、自分の時間を作りましょう!

今の日本の45歳。
いわゆる氷河期世代といわれる良子さんたちは、ひとりで抱え込む傾向がとても強いように思うのです。

育ってきたのは、どっぷり昭和の世代です。
しかし、部下たちは、ミレニアム、ジェネレーションZといわれるデジタル世代。
間に挟まれた良子さんたちの年代は、上と下に突き上げられて
「私がやらなければ」
「私がやるのが一番早い」
と考えがち。
しかも旦那さまも、多少の差はあるものに昭和的な環境で育っているはず。
家事や育児を「やる」と言いながら、「お手伝い程度」と潜在的に思っている人が多い。
黙って、行動しなければ、何もかもがワンオペになってしまいます。
それはいけない。
子ども中心の生活から抜け出す時間を少しでも作れるといいですね。

手を抜くことを覚える

良子さんのメッセージを読んで感じるのは、キチンとした性格だということ。
ちゃんと、キチンと自分がやらないと気がすまない。
自分の中にとても高いハードルがあって、それを乗り越えないと「やった感」が得られないのではないでしょうか。

だから人に頼めない。
自分がやった方が早いと感じてしまう。
まずは、そのハードルを思い切り下げましょう。

「完璧をめざさない」

これです。

私の友人に、恐ろしく仕事のできる女性がいます。
その上、娘さんと自分のお母さんとの3人暮らしで、家庭も切り盛りしている。
どうしてそんなにできるのか? と尋ねたところ、

「ほこりで死んだ人はいない」

が家でのモットーだそうで、掃除も洗濯も料理も手を抜けるところは徹底的に抜く。
「手を抜くためにはなんでもする」
と言って笑っていました。

そう。手を抜くことは悪いことではない。
良子さんの人生は、子どもや旦那さんの人生まで背負っているように見受けられます。
多少手を抜くことは、当たり前のことです。
ハードルを下げることを心がけましょう。

夫と真剣に話し合おう

もうひとつ大切なこと。
それは「言えばやってくれるかも」「ごはんをおいしそうに食べてくれる」ということで
夫を許すのではなく、一度真剣に話し合ってみてはいかがでしょうか。

私は、コロナ禍にあった3年間。夫婦のトラブル相談をいくつも受けてきました。
コロナ禍になって、24時間いっしょに暮らすようになり、初めて夫の性格が見えてきた。

「私が、ない時間をやりくりして洗濯し、畳んだタオルを、まるでティッシュのようにポンポン使って洗濯機に放り込む。さすがにイラッときて、洗濯は、夫にやってもらうと決めた」

と言う人がいました。
確かにタオル一枚、洗濯して畳むのも大変なことです。
良子さんはきっとその何倍もの家事を一人でやられていることでしょう。

簡単なことでもいい。
多少目をつぶれる家事をさがしてみませんか。

まずは、良子さんが、今やっている家事を紙に書き出してみましょう。
できるだけ細かく書く。
「掃除」ではなく、「机の上の片付け」「玄関の掃除」「生ごみを出す」と、目の前に情景が浮かぶように書いていきます。
夫が想像しているよりもはるかに多くの仕事があるはずです。
それを具体的に見せることが大切。
その紙を真ん中に置いて、良子さんしかできない仕事、夫に代わってもらえそうな仕事を分けていくのです。

大切なことは、良子さんが決めるのではなく夫に「意見を言わせる」ことです。
そうすればちょっぴり責任感も生まれるはずです。

セルフハグしよう

良子さん、自分が我慢して、丸く収めようとしている良子さん。
そんなに頑張っている自分を放っておいてはいけませんよ。
自分の声を一番聞いているのは自分自身です。
自分に向かって、声にして、

「すごいぞ!私!」

と毎日何回も言いましょう。
そして自分の腕で自分を抱きしめる「セルフハグ」もしてください。
この効果は絶大で、オキシトシンという「愛情ホルモン」が分泌されて、ほっとした気持ちになれます。

お風呂に入るとき、寝る前、料理を作り終えたとき、「すごいぞ、私!」と言ってセルフハグをして、にっこり笑う。
自分の最愛の人は、自分。
そんな気持ちを込めて、毎日、自分を大切にしてくださいね。

時は過ぎゆく

子育てを終えた多くの母親から、こんな言葉をよく聞きます。

「あの頃は、座ってご飯を食べる時間もなかった。自分のことなどひとつも考えられなかった。でも、それは本当にわずかな時間で、今となってはあれだけ熱中できた時間が懐かしい。
本当によくやったと思う」

良子さんのワンオペ生活も、一生続くわけではありません。
よく見ると、子どもとの関係も毎年、少しずつ変わってきているはずです。

振り返ったとき、良子さんの今が素敵な時間として思い出せるように、私も祈っています。

良子さん、ありがとうございました。

ひきたよしあき

コミュニケーションコンサルタント、コラムニスト、(株)SmileWords 代表取締役。博報堂でCMプランナー、クリエーティブディレクターとして数々のCM制作を手がける。政治、行政、大手企業のスピーチライターとしても活動。2022年より大阪芸術大学放送学科客員教授。主な著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』(三笠書房)、『大勢の中のあなた へ』(朝日学生新聞社)、『人を追い詰める話し方 心をラクにする話し方』(日経BP)など。

Facebook HP 

(イラスト 江夏潤一)

連載一覧

  • 第1回 あなたを全力で肯定する理由
  • 第2回 私は自己肯定感が低いです。
  • 第3回 コミュ障です。
  • 第4回 コスパの悪い人間です。
  • 第5回 ダメ上司です。
  • 第6回 本気で人を好きになれません。
  • 第7回 夢がありません。
  • 第8回 若い子には勝てません。
  • 第9回 社畜です。
  • 第10回 不寛容な人間です。
  • 第11回 老害でしょうか。
  • 第12回 母親失格です。
  • 第13回 モテない男です。
  • 第14回 口下手です。
  • 第15回 都合の良い女です。
  • 第16回 ネガティブ思考です。
  • Twitter
  • Share
  • LINE

-あなたを全力で肯定する言葉, 連載
-あなたを全力で肯定する言葉, お悩み相談, ひきたよしあき, 人生相談, 自己肯定感

author

関連記事

マグラブ【第4回】出来立てクレイジー彼女│野性爆弾 くっきー!

【第4回】出来立てクレイジー彼女 無言は続いている。 口の空洞がこの子に気づかれぬよう、呼吸を抑えゆっくりと“吸う”“吐く”の繰り返し。ホーン化した口内は少しでも気を抜くと、ボウボウと音を出すだろう。 気を抜かず、気を紛らわす。 ただただタオルを搾り、この子のデコに置く。まるで車のタイヤにガムが張り付き、クルクル回っている感じ。 無駄すぎるが、意味のある時間。この子も確実に退屈してきているだろう。気の利いたトークを脳内に蔓延らせ、それでも言えぬストレスの極み。 なんだかんだで、2時間ほど経過。 拷問鬼すら ...

あなたを全力で肯定する言葉【第8回】「若い子には勝てません。」|ひきたよしあき

【第8回】「若い子には勝てません。」 おばさんであると、受け入れざるを得ない歳になりました。皮肉でも自虐でもなく、若い子には勝てません。若いだけで本当に可愛いし、輝いています。間違いなく、若さは武器です。私は武器を失い、今は丸裸です。若さに代わる武器は「図々しさ」です。 (むぎまる 43歳)   むぎまるさん、メッセージをありがとうございます。 もうずいぶん前のことですが、私も40代に入った頃に同じようなことを考えていました。 いろいろたるんでくる。 がんばりが効かなくなる。 開き直る機会も増え ...

あなたを全力で肯定する言葉【第5回】「ダメ上司です。」|ひきたよしあき

【第5回】「ダメ上司です。」 部下を信用できません。仕事を頼むと遅いし失敗するし、報告や相談もしてこないし、面倒だから自分でやるのが一番早いです。だけど、上司からは「お前は上司としてなっていない」「部下を成長させるのが上司の仕事」と言われてしまいました。はいはい、どうせダメ上司ですよ。 (元新入社員 40歳)   元新入社員さん、メッセージ、ありがとう。 「信用できない」「遅い」「失敗」「相談にこない」「面倒」「上司としてなってない」「ダメ上司」…… 短い文章の中に、ネガティブな言葉が満載! こ ...

自宅全焼でヤケド後も外にぽつんと繋がれっぱなしだった犬 新しい家族と出会い笑顔でお散歩の日々|くま(8歳)

保護犬たちの物語【第6話】くま(8歳) くまは、8歳のミックス犬。穏やかで優しい性格の彼女は、3度のご飯より散歩が好きだ。 拓也父さんも真穂母さんも、それぞれ在宅仕事がほとんどなので、くまは大好きな散歩に朝夕連れて行ってもらえる。きょうは、小学生の優也くんも学校から早く帰ってきたので、みんなして早めの夕方散歩に近くの公園まで出かけた。 くまと真穂さんとは7年の付き合いだが、犬と暮らしたことのなかった拓也さんと優也くん父子とは、去年家族になったばかりだ。 すれ違う人たちの誰が、このしあわせそうな家族を見て、 ...

あなたを全力で肯定する言葉【第14回】「口下手です。」|ひきたよしあき

「置いていったら、死ぬ子です」福島第一原発警戒区域でボランティアの車に必死ですがった犬|ふく(19歳7ヶ月で大往生)

連載一覧

  • 鬼才くっきー!による初の小説は、思春期全開JKの、どこかおかしい、たぶんおかしい青春ラブストーリー。予測不能のマグマ×ラブNOVEL!!

  • どうせ自分なんか……私は〇〇だから……所詮こんな人間です……。自らにレッテルを貼り思い悩む人々に「言葉の力」で伴走します。

  • 本屋はいつでも僕を笑顔にする!「本屋大賞」の立ち上げに関わり、実際に下北沢で書店を開業した嶋浩一郎による体験的「本屋」幸福論。

  • 『家にいるのに家に帰りたい』のクオン・ラビン新作エッセイ。心やすまる居心地のいい家に帰りたい。あなたの心に灯をともす、癒しの言葉たち。

  • 「事故か、虐待か」――不審死を遂げた動物の遺体を解剖し、動物虐待の実態を明らかにする「法獣医学」の専門家による奮闘記。

  • 血統書がなくても、ブランド犬種ではなくても、こんなにも魅力的で、愛あふれる犬たちがいます。佐竹茉莉子さんが出会った、犬と人の物語。

    人気の記事

    話題の書籍

    関連サイト

    • 運営会社
    • 利用規約
    • プライバシーポリシー
    当サイトに掲載されている記事、写真、映像等あらゆる素材の著作権法上の権利は著者および辰巳出版が保有し、管理しています。これらの素材をいかなる方法においても無断で複写・転載することは禁じられております。

    コレカラ

    © 2022 TATSUMI PUBLISHING CO.,LTD.