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あなたを全力で肯定する言葉【第1回】あなたを全力で肯定する理由|ひきたよしあき

2022年9月22日

私たちは、常に評価の目に晒されて暮らしています。「いいね!」という言葉にも、「おまえを評価してやる」という意味が含まれています。人間関係が希薄になる中で、裁きの目を浴びている。今、あなたに必要なのは、あなた自身を全力で肯定する言葉です。私はコミュニケーション・コンサルタントとして、小学生から政治家までを「言葉の力」で応援してきました。現場で培ったノウハウで、エールを送りたい。あなたを、丸ごと、全力で肯定します。

【第1回】あなたを全力で肯定する理由

広告会社で働きながら、10年近く大学で教鞭をとってきました。
毎年入れ替わる学生たち。
同じように見えて、コミュニケーションの方法が、少しずつ変わっています。

特にここ2、3年感じるのは、話し始める前に、“エクスキューズ”をつける人が急増していること。

「人と話すのが苦手なもので」
「少しコミュ障入っているので」
「いつも支離滅裂になっちゃうんですど」

こうした小さな弁明をする人は、昔からかなりいます。
しかし、今の学生や社会人1、2年生と話していると、枕詞のように“エクスキューズ”をつけてきます。

だからといって、話してみると何一つ問題はありません。
普通に話せるし、話がわかりにくいわけでもありません。

「最初に、話すのが苦手って言ったけど、うまいじゃない。よくわかったよ」
と言うと、驚いた顔をする。
そして細かく手を振って、
「全然、そんなことありません。今もドキドキして、もう、ダメなんです」
と言います。

本人は、「話すのが苦手」かもしれない。
しかし、「相手に伝える力」は十分にある。
いちいち“エクスキューズ”をいれて、「厳しいジャッジ」を免除してもらおうとする必要が全くない。
「話すのが苦手」は、あくまで自分の判断。

きっと誰かと比較して、
「私は、彼(彼女)と比べて、うまく話せない」
と決めつけてしまっているのでしょう。

「自虐」の言葉は、自分を刺す

子どもの頃、家に『家庭の医学事典』という分厚い本がありました。
面白半分に読んでみると、「肝臓を患うと、顔色が悪くなり、体に痒みがでて、だるくなる」なんて書いてありました。
これを読んだ途端、「あれ、そういえば今日は体が重いな」と思ったのです。

鏡を覗くと、前に比べて顔がドス黒い気がする。
急に背中が痒くなってきた。

私の中で、
「肝臓病かもしれない」
という意識が芽生え、それからしばらく「肝臓病の私」というレッテルを自分に貼って暮らすはめになりました。
医者の診断で決めるべき「病気のレッテル」を素人判断で貼ってしまったのです。

一度こうした「負のレッテル」を自分に貼ると、脳みそはせっせとその事実を証明しようとします。
「そういえば、昨日食欲がなかった」
「あ、あのとき太田さんから、『暗い顔をしている』と言われた」
なんてことが次々と思い出されてくる。
レッテルは、ますます強固になり、「肝臓病の私」は、“フリージングワード”(脳を凍らせて動かなくする言葉)となって自分を規定してしまいます。

今は、この『家庭の医学事典』と似たような装置があちこちにあります。

ネットをひらけば「自己肯定感が低い」「コミュ障」「ひきこもり」「うつ」なんて言葉が出てきます。
本来厳しく管理されるべき専門用語が、個人の解釈、偏見、わずかな体験談で語られています。
中には、「自己肯定感の高低」を測るテストや占いめいたものまであって、「私はこれにあてはまる」と思ってしまいます。

人間は不思議な生き物で、「悪い情報」「自虐のネタ」の方が記憶に残ります。
「自虐の言葉」は、毒矢となって、自分の心に刺さってきます。
人と話す前に“エクスキューズ”をつけてしまうのは、さまざまな情報を通じて、自分に毒矢を向けてしまった証明のように思えるのです。

もちろん、思い込みばかりでなく、実際にこうした症状をもっている人もいるので、「こういうのは相手にしない方がいいよ」とは言えません。
早期に専門の医師に相談された方がいい人もいます。
それがわかっている上で、これからの話を進めていきます。

あなたを全力で肯定します

私は、自分に「負のレッテル」を貼ってしまった若者を、たくさん見てきました。
小学生に向けた授業もやっているので、子どもや保護者の方にも数多くいることを知っています。

自信のない人、自己肯定感の低い人、コミュニケーションが苦手な人などを、言葉の力で、なんとか元気にしてあげたい。
そう思って、たくさんの本を書き、あちこちで講義もしてきました。

その結果、わかったことは、海の底でうずくまっている人が海面に出るまでいっしょに泳いでくれる人の大切さ。
その存在を全力で肯定し、言葉の力でレッテルを剥がす仲間のありがたさです。
私自身、こうした友だちによってシビアな時期を乗り越えてきました。
及ばずながら、苦しんでいる人といっしょに海面をめざしたこともあります。

そんな経験を活かしながら、言葉の力で、あなたをサポートさせてください。
海面にぱっと顔を出し、新鮮な空気と、青い空をあなたといっしょに見られるように、全力で、あなたを肯定する言葉をお届けしていきます。

< 前の話 │ 次の話 >
1話から読む

ひきたよしあき

コミュニケーションコンサルタント、コラムニスト、(株)SmileWords 代表取締役。博報堂でCMプランナー、クリエーティブディレクターとして数々のCM制作を手がける。政治、行政、大手企業のスピーチライターとしても活動。2022年より大阪芸術大学放送学科客員教授。主な著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』(三笠書房)、『大勢の中のあなた へ』(朝日学生新聞社)、『人を追い詰める話し方 心をラクにする話し方』(日経BP)など。

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(イラスト 江夏潤一)

連載一覧

  • 第1回 あなたを全力で肯定する理由
  • 第2回 私は自己肯定感が低いです。
  • 第3回 コミュ障です。
  • 第4回 コスパの悪い人間です。
  • 第5回 ダメ上司です。
  • 第6回 本気で人を好きになれません。
  • 第7回 夢がありません。
  • 第8回 若い子には勝てません。
  • 第9回 社畜です。
  • 第10回 不寛容な人間です。
  • 第11回 老害でしょうか。
  • 第12回 母親失格です。
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  • 鬼才くっきー!による初の小説は、思春期全開JKの、どこかおかしい、たぶんおかしい青春ラブストーリー。予測不能のマグマ×ラブNOVEL!!

  • どうせ自分なんか……私は〇〇だから……所詮こんな人間です……。自らにレッテルを貼り思い悩む人々に「言葉の力」で伴走します。

  • 本屋はいつでも僕を笑顔にする!「本屋大賞」の立ち上げに関わり、実際に下北沢で書店を開業した嶋浩一郎による体験的「本屋」幸福論。

  • 『家にいるのに家に帰りたい』のクオン・ラビン新作エッセイ。心やすまる居心地のいい家に帰りたい。あなたの心に灯をともす、癒しの言葉たち。

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