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本屋さんの話をしよう【第6回】あの書店のあのフェアがすごかった!│嶋 浩一郎

【第6回】あの書店のあのフェアがすごかった! GWが明けるとコロナが普通のインフルエンザと同じ扱いになるというわけで、僕が本屋B&Bを運営する下北沢の人出もここ一ヶ月の間にグーンと伸びてきました。中にはわざわざ地方から来てくれるお客さんもいらっしゃって、ほんと嬉しい限りです。東京に住んでいる人も、とにかく外に出て過ごせる日々が帰ってきたのが待ち遠しかったんでしょうね。コロナ禍のど真ん中のひどい時にはお店にまったく人がいないなんてこともあったりしましたが、今はレジ前に数名が並んでいただける状況まで復活しまし ...

本屋さんの話をしよう【第5回】本屋の後はカレーかサンドイッチか それが問題だ!│嶋 浩一郎

【第5回】本屋の後はカレーかサンドイッチか それが問題だ! 本屋をぶらぶらしていて自分に向けてフラグが立った本に出会い、そして無事に購入できた時の喜びは他に例えようもありません。君と出会うために今日という日があったというくらい。誰かと一緒に本屋に行ったとしたら、会計を終えた戦利品を今すぐにでも見せびらかせたいし、一人だったとしてもこの素晴らしい出会いを速攻で反芻(はんすう)したいと思いますよね。 そんなわけで本屋好きは必ず本屋の近くに戦利品を愛でる場所として馴染みの店を確保しているわけです。ここで問題にな ...

本屋さんの話をしよう【第4回】絶滅危惧種、24時間営業書店を応援したい!│嶋 浩一郎

【第4回】絶滅危惧種、24時間営業書店を応援したい! 変な時間に開く店に共感を覚えるんです。自分が運営する本屋B&Bがある街、下北沢に朝5時にオープンするマレーシアの混ぜ麺を売る店があります。現地ではパンミーと呼ばれる小麦麺で、アナゴのツメ(タレ)を麺に混ぜ、ジャコと花椒(フォアジャオ)をかけて食すのですが、これがなかなか美味しいわけです。店主はカウンターの向こうで手際よく動きまわり活気があって、緑やブルーやピンクのプラスチック食器がカラフルで、あたかもアジアのどこかの都市の屋台にいるような雰囲気 ...

本屋さんの話をしよう【第3回】待ち合わせは本屋さんで│嶋 浩一郎

【第3回】待ち合わせは本屋さんで 多分学生時代からの習慣なので30年以上もマイルールにしているのは、待ち合わせは本屋さんでということ。 まあ、理由は簡単です。待ち時間に退屈しないから。本屋さんには迷惑かもしれないけれど、立ち読みしながら人を待っていられるなんて近頃Z世代に流行しているタイパを先取りした過ごし方だったのではないでしょうか。でも、たった10分の待ち合わせの間に、後の人生に影響を与える本に出会うとか、単なる待ち合わせの時間潰しがめくるめく時になってしまうから、本屋はなかなか侮れないのです。 待ち ...

本屋さんの話をしよう【第2回】書店における魔の空間│嶋 浩一郎

【第2回】書店における魔の空間 お店には「魔のバーミューダトライアングル」的な人の心を惑わす恐ろしい場所があるのをご存知でしょうか? それは、レジ横。お買い上げアイテムを選び終わりぼんやりとレジに並んでいるタイミング、あるいはレジで支払いを済まし満足感に満たされる、その時間に魔の手が忍び寄るのです。 スーパーマーケットやコンビニエンスストアでもレジ横はマーケティングの実験場になっているという話をよく聞きます。スマホでキャッシュレス決済をする人が多くなった今でも、レジはお財布を手にする場所。それはまさに財布 ...

本屋さんの話をしよう【第1回】本を「地産地消」で楽しむ│嶋 浩一郎

【第1回】本を「地産地消」で楽しむ 京都は喫茶店天国というのは多くの人が認めるところかと思います。三条通と堺町通の交差点近くのイノダコーヒ三条支店は、僕が京都にいったらかなりの頻度で尋ねる場所です。イノダコーヒーではなくコーヒというつづりですからね。イノダコーヒはチェーン店で東京にも支店がある店ですが、三条支店が大のお気に入りです。なぜなら、この店には日本で一番本や新聞を読むのに向いているカウンターが存在するからです(自分調べです!)。 三条通の扉を開けて店に入ると、手前にはコーヒーカップやコーヒー豆など ...