第十二章 更地と皿屋敷 皿屋敷の謎 いちま~い、にま~い……と、女の幽霊が皿の数を数え、十枚目でしくしく泣くという怪談「皿屋敷」、小さいころ、テレビで見て怖かったものだ。 この「皿屋敷」の「さら」が「更地」の「さら」を意味するという説がある。 江戸後期の『嬉遊笑覧』(1830)には、 「もともと皿屋敷は家屋のない更地の屋敷という意味だったのが、これにこじつけて皿を割った女の怪談を作ったのであろう」(“本よりさらやしきは家居もなきさら地の屋敷と云しを、これに附会して皿を破りし女の怪談を設しなるべし”)(巻六 ...