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“音楽はサブスク”な時代にあえて【アナログレコード沼】にどっぷり浸かってしまう理由とは――ディスクユニオン店長兼バイヤー指南『アナログレコードにまつわるエトセトラ』

これからレコードを聴いてみたい方、レコードが頭から離れなくて夜も眠れない重度のコレクターにもおすすめ、『アナログレコードにまつわるエトセトラ』をご紹介します。   レコードはいうまでもなくアナログで、一部の知識や体験はまるでロスト・テクノロジー。 誰かが語り継がなくては アナログレコードはサブスクとは違い、取り扱い、ケアの方法、美品の見分け方など基礎知識が必要です。 そして、歴史あるアナログレコードの世界は奥が深く、そんな世界を知るのもサブスクにはないアナログレコードの魅力のひとつでもあります。 ...

試し読み|ジェジュン、BTSのRMも愛読した韓国エッセイ『あなたを応援する誰か』

なかなかすてきな人生 10代のころは、20歳になれば 何かが新しくなると思っていた。 でも20歳になってみると、 新しいことなんて何もなく 悩みが増えるだけだった。 どこに向かえばいいかわからないまま、 やみくもに突き進み、 勇ましく挑戦したはずが、 無謀な挑戦に終わったこともあった。 30代になれば何かが変わると思っていた。 でも30歳になってみると 変わることなんて何もなく、 悩みの重さはそのままで、責任が増すだけだった。 人生には、悪いことも 良いことも起きるのが、あたりまえ。 不幸と幸せはいつだっ ...

試し読み|BTSのVも読んだ!話題の韓国エッセイ『家にいるのに家に帰りたい』④

わたしたちはふたたび恋をする あなたにとってわたしは あなたにとってわたしは、 どんな存在だったのか。 わたしにとってあなたは、 奇跡のように訪れた人生の春だった。 星を描く人 あなたはたぶん、夜空に星を描く人。夜明けの青白い空に日が昇ると、彩られていた星々はすぐに見えなくなるけれど、昼の光のなかでときおり見える星もある。あなたは、そんな星を描く人。だからこんなにもまばゆく、きらきらしている。 あなたをずっと太陽みたいだと思っていた。でも、ひんやりした手を握ったとき、わかった。手が冷たいのは、漆黒の空に星 ...

「介護=苦労」だけなのか? 介護をめぐる悲劇を避けるために『認知症介護の話をしよう』が教えてくれることとは

家族の悩みは他人に話しづらい、ましてや介護のことならなおさらです。 だから介護は1人や家族の中だけで抱え込みがちです。 1人や家族の中だけで抱え込んでいると、「介護=不安・つらい・大変」になってしまいます。 そんな精神状態のままで介護者が無理をすると介護は破たんします。 今回は、そのような介護をめぐる悲劇を避けるために、いま介護をしている方はもちろんのこと、まだ介護が始まってない方にもぜひ読んでほしい『認知症介護の話をしよう』をご紹介します。 介護のために自分の人生を犠牲にしてはいけない 本書は、若年性ア ...

「あなたはひとりじゃない」優しく肯定してくれる言葉が心にしみるジェジュン、RMも愛読したエッセイ『あなたを応援する誰か』

忙しさに追われて疲れてしまったとき、夢に向かって奮闘してるとき、前を向きたいとき、人間関係がつらいとき、傷ついたときに、ぜひ読んでほしい本をご紹介します。 2013年に韓国で刊行され現在27刷となるロングセラー、待望の翻訳となる『あなたを応援する誰か』。 2014年にアーティストのジェジュン、そしてBTSのRMが愛読したことで話題になり、 2019年には韓国大手書店 教保文庫にて「今年もっともプレゼント用に購入された本」のベスト3にも選ばれました。   「あなたのままでいいよ。大丈夫だよ。」その ...

アン・ギュチョル×浅田彰×桑畑優香 対談「モダンアートとBTS RMの美術眼」<後編>

www.amazon.co.jp/dp/4777828700 RM が現代美術に興味を持つのは意外なことではない 浅田:アンさんはまずジャーナリストとして美術を扱い、1984 年に東京でヨーゼフ・ボイスやナム・ジュン・パイク(白南準)の仕事に触れて「自分もやっぱりアーティストとしてやってみよう」と思われたんですね。 その前年に僕は構造主義やポスト構造主義を論理的に再構築した『構造と力』という本を出したんですが、なぜかベスト・セラーになり、かえって当惑しました。その年はポストモダン建築の世界的パラダイムの一 ...

アン・ギュチョル×浅田彰×桑畑優香 対談「モダンアートとBTS RMの美術眼」<中編>

www.amazon.co.jp/dp/4777828700 「直角」と「ゆとり」の問題点② 浅田:木で立派な彫刻を作るとか、石で立派な建築をつくるとか、設計図に基づいて正確にものを作ることが重視されてきたけれど、そのときに出てくる木くずとか石くずとか、一見どうでもいいような小さな物にじっと目を凝らすと、それらの予測不能な動きからいろいろ面白いことが見えてくる。『それぞれのうしろ姿』は、そうやって多種多様な小さなもののうしろ姿を見つめることから得られた洞察に満ちていて、良い感じだと思って読んでいたわけです ...

アン・ギュチョル×浅田彰×桑畑優香 対談「モダンアートとBTS RMの美術眼」<前編>

  アンさんと浅田さん、お二人の BTS の縁 桑畑優香さん(以下桑畑):アン先生は作家であり現代美術の作り手。浅田先生は評論家でありながら、韓国生まれのアーティスト、ナム・ジュン・パイクと親交があり、実は韓国の現代美術と深い関わりをお持ちです。そしてもう一つの共通点がなんと、BTS なんですよね。アン先生の著書『それぞれのうしろ姿』のページを RM が Weverse(会員制 SNS)に投稿し大反響となり、その噂が日本にも届き日本語翻訳版が出版されるに至りました。アン先生、その時のことを覚えて ...

試し読み|BTSのVも読んだ!話題の韓国エッセイ『家にいるのに家に帰りたい』③

わたしたちが別れた理由がわからないのなら 存在の空席 もともと何もなかった場所に、あなたがいてくれた。 だからあなたが不在となったいま、 そこは空席になってしまった。 存在とはそんなものだ。 あなたは捨てたけど、わたしは捨てられなかったもの 冬のコートのポケットから出てきた あなたと飲んだコーヒーのレシート、 カバンに入っていたあなたと観た映画のチケット、 財布にしまっていた色あせたわたしたちの写真。 あなたは捨てたけど、 わたしは捨てられなかったもの。   ささやかなことが一番大切 ささやかな ...

試し読み|BTSのVも読んだ!話題の韓国エッセイ『家にいるのに家に帰りたい』②

つらい日々をただ受けいれているだけのあなたへ ベッドに寝ころび スマートフォンにさわるとき 「ゆとり」とは、小さなすき間のようなもの。 ベッドに寝ころび空想にふける時間、 愛する人に会う時間、 一日を終えておいしいごはんとともに 一杯のお酒を飲む瞬間。 それらすべてが「ゆとり」だ。 そのすき間は、自分の心のありようによって 大きくなったり小さくなったり。 「そんなゆとりはない」と言いはるわたしは、 「すき間は大きくあるべき」と思い込んでいるのかも。 願い どうかわたしが幸せでありますように。 愛する人たち ...

試し読み|BTSのVも読んだ!話題の韓国エッセイ『家にいるのに家に帰りたい』①

誰よりもわたしの幸せが一番大切 ときには消えてしまいたくなる お風呂にすっぽり首まで浸かり 目と耳をふさいで湯船の栓をぬいたら、 わたしもお湯のように流れて消えてしまえるだろうか。 「どうか消えてしまいますように」 そう願っていた時期があった。 思いきり幸せになれる日がわたしにも来るのかな 幸せすぎると心が病気になる。 干からびた人生に 雨や雪のように幸せがふりそそいでも、 思いきり楽しめず、 「失ったらどうしよう」と考える。 ただ幸せになればいいのに、それでもいいのに。 いつか、足もとに幸せがぎっしり積 ...

家にいるのに"やっぱり"家に帰りたい【第5回】あなたの記憶|クォン・ラビン 桑畑優香 訳

【第5回】あなたの記憶 空っぽ 思い切って空っぽにしてこそ、満たされるもの。 愛ってきっと、そんなもの。   「好き」をあきらめることにした あなたを好きになるのを、あきらめることにした。 駆け引きしたり、まわりの目を気にしたりする恋は、つらく哀しすぎたから。 好きになっただけなのに、失うことが多すぎて、わたしはただただ後悔した。噓で飾ったあなたにとって、真実とは何なのか。あなたの言葉と行いを信じたわたしが間違っていたのか。 わたしは深く傷ついた。わずかだけど期待していたから。 愛はどこへ消えた ...

家にいるのに"やっぱり"家に帰りたい【第4回】「緊急連絡先を書いてください」|クォン・ラビン 桑畑優香 訳

【第4回】「緊急連絡先を書いてください」 ある男の物語 とある壁の片隅に、ある男が書いた文を見つけた。それを読んで、涙が止まらなかった。 「父さんと僕を置いて母さんが家を出た日。僕はその日、母さんが去ってしまうと気づいていた。一生懸命寝たふりをして、母さんがいなくなった後、声を殺して泣いたんだ。涙を流しながらためらう母さんを引き留めなかったのは、自分の人生を生きてほしいと思ったから。幸せになってほしかったから。軍隊生活を送る僕に、母さんは手紙を送ってくれたね。たまらなく会いたくなって電話をすると、母さんは ...

家にいるのに"やっぱり"家に帰りたい【第3回】幸せになるための7つの方法|クォン・ラビン 桑畑優香 訳

【第3回】幸せになるための7つの方法 あなたを定義するのはあなた 他人の言葉であなたを定義することはできない。 周りの目を気にしないのは簡単ではない。でも、他人の言葉に振り回されたり、動揺したりしてはダメ。そうすると、自分ではなく他人が決めつけた人生を生きるようになってしまうから。 背の高い人、低い人、やせている人、そうでない人。わたしたちは多様性に満ちている。痩せていなくても美しく、ゆるぎない自尊心を持つ人もいれば、外見に恵まれていても、他人の言葉ばかり気にして自分を苦しめ、幸せになれない人もいる。 「 ...

家にいるのに"やっぱり"家に帰りたい【第2回】「だいじょうぶ」が「本当にだいじょうぶ」になるまで|クォン・ラビン 桑畑優香 訳

【第2回】「だいじょうぶ」が「本当にだいじょうぶ」になるまで がまん 誰かをぎゅっと抱きしめたい。そう願うときこそ、焦らないで。寂しさから恋するなんて、愚かなことだから。 抱きしめられたいと望むなら、その人のすべてを包み込む心をもって。愛されたいと思うなら、その時までがまんする強さをもって。 それぞれの人にとって、必要な時間は違うのだから。   「だいじょうぶ」が「本当にだいじょうぶ」になるまで 「だいじょうぶ」が「本当にだいじょうぶ」になるまで、いったいどれくらい待てばいいのだろう。そんなこと ...