保護犬たちの物語【第16話】カンナ(10歳) 朝陽が遠くの山あいから上ってきた。 カンナは、茶色い瞳と白い毛を輝かせ、シッポをくるんと上げて、楽しげにいつもの道を行く。 「カンナちゃん、おはよう!」 「気持ちのいい朝だね~」 途中で合流する人たちから、声がかかる。みんな、カンナを見るなり目じりが下がる。カンナもうれしそうに笑顔を返す。 ここは、群馬県桐生市の水道山公園。町が見渡せる小高い山が市民の憩う公園となっていて、その中腹に、早朝ラジオ体操の仲間が集う広場があるのだ。 暑い日も寒い日も、風の日も小雨の ...