明日が恋しい今日
「過去に戻れるとしたらいつがいい?」
という友だちの質問に、
「27歳」と答えた。
あのころの自分が一番きれいだったと思うから。
だけど、当時のわたしは
人生の重さに耐えかね
叶うことのない愛に苦しみ、
子ども時代を懐かしがっていた。
今までは再び戻りたいと思うほど
幸せな日々だったのに、
27歳のわたしは
自分の美しさや輝きに気づいていなかった。
10年後、20年後にまた同じ質問をされたら
「今、この瞬間が愛おしい」と答えるだろう。
今日が幸せでない人は
明日も幸せではないという。
今この瞬間をせいいっぱい、
幸せに生きたい。
著者プロフィール
ソン・ミファ
画家。エッセイスト。1982 年生まれ。美術学校に通いアートセラピーを学ぶ。他書に『나의 서툰 위로가 너에게 닿기를(わたしの不器用なやさしさがあなたに届きますように)』『어떤 날에도 위로는 필요하니까 (どんな日でも慰めは必要だから)』(いずれも未邦訳)がある。
桑畑優香
翻訳家、ライター。早稲田大学第一文学部卒業。延世大学語学堂、ソウル大学政治学科で学ぶ。「ニュースス テーション」のディレクターを経てフリーに。多くの媒体に映画レビュー、K-POP アーティストのインタビ ューを寄稿。『家にいるのに家に帰りたい』『それぞれのうしろ姿』(小社刊)、『BTS を読む』(柏書房)など 訳書多数。