『ラクして備えるながら防災 フェーズフリーな暮らし方』刊行トークイベント 【第2回】

8月30日に刊行した『ラクして備えるながら防災 フェーズフリーな暮らし方』は、自然災害が頻発する昨今において、防災を日常に取り入れた新たな暮らし方を提案しています。

WILD-1多摩ニュータウン店にて開催された、著者CAMMOCの3名(マミ・カナ・アヤ)によるトークイベントの様子を、全2回の連載として公開いたします。

トークイベントの様子

WILD-1はキャンプ・釣り・登山用品などを展開するほか、アウトドアメーカーの機能性の高いウェアなども扱い、アウトドア用品の販売や快適なアウトドアライフを提案するサービスを提供。本書には多数のアウトドア用品も登場し、WILD-1はCAMMOCと全天候型TCドームテント「LaLa」をコラボ開発した縁があり、イベント会場となりました。

目次

■「フェーズフリー」とは何か
■防災意識が変わる? ほかの防災本と何が違うのか
■もしもの時にも役立つ「衣」の話
■ズボラさんこそ備えたい「食」の話
■暮らしに豊かさをプラスする「住」の話
■イベントを終えて

 

■もしもの時にも役立つ「衣」の話

カナ:せっかくWILD-1の店舗でイベントをさせていただいているので、キャンプにも防災にも日々の暮らしにも大切な「衣」「食」「住」をテーマに、私たちがおすすめしたい防災に役立つ商品を紹介しながら、防災、そしてフェーズフリーのお話をしたいと思います。

アヤ:まずは「衣」。ウェアの話をしますね。
防水のウェアは雨の日に着るのはもちろん雪の日でも、子どもだと水遊びの時でも、風を通しづらいので羽織りのアウターとしてもマルチに使えます。雨具として「雨の日に着るもの」と考えず、濡れる場面がない時でも日常的に日頃から使うために持っておくといいと思います。
店内には、すぐに乾く速乾素材のウェアもたくさんありました。それから、防臭効果が高く、長期間着用していても臭いづらいメリノウールのウェアもいいなと思いました。例えば避難所で避難生活を送ることになってこまめに着替えができない、洗濯できない時に助かります。メリノウールの靴下なんかもあるそうで、いいですよね。あとは防虫素材のウェアなんかもありました。
「機能性ウェア」と呼ばれるようなものは、日頃から着用していればいざという時にも使えます。

▲『ラクして備えるながら防災』より

アヤ:防災用品が詰まった「防災バッグ」を家に置いている人も多いと思いますが、子ども服がサイズアウトしていたり、夏に避難するのに冬用の毛布やカイロが出てくるなんてことがないよう、私たちはアウトドア用のリュックやキャリーバッグに自分たちに必要なものを入れて、キャンプや旅行に持って行くことで中身をアップデートしています。
いつ避難することになっても必要な物が揃っている。そういう防災バッグの作り方も本で紹介しています。

 

■ズボラさんこそ備えたい「食」の話

カナ:次は「食」について。
最近の地震や台風の影響もあって携帯用の「浄水器」が非常に売れているらしいですね。水はとても大事なので、我が家の防災バッグにも浄水器を入れています。
ふたりはキャンプで浄水器を使いますか?

マミ:私は使ってないです。家では水道水を浄水器で浄水してから飲料水にしているけど、キャンプでは備蓄しているペットボトルの飲料水をローリングストックするためにそれを持って行っています。

カナ:それもいい方法だね。
私はついこの間もハイキングに浄水器を持って行きました。水道がない災害時も、浄水器があれば川の水や雨水を飲料水にできるから安心ですね。

あと、便利なのが調理器具や食器に使える洗浄剤。いろいろなメーカーから出ていると思います。食事をしたあと、食器にスプレーして拭き取るだけで、水で洗い流さなくてもいいという。

アヤ:カレーの汚れもすっきり取れるらしいね。

カナ:そう、臭いも取れる。除菌効果もあって。
キャンプに行くと子どもたちがいることもあって洗い場に行くのがすごく面倒くさい(笑)
なので、私には欠かせないアイテムで、自宅でのバーベキューなんかでも使えます。もちろん災害時にもいい!
ズボラな方、面倒くさがりな方におすすめです。

食品では、絞り口がついていて調理器具要らずなホットケーキミックス、これ、おすすめです。本当に便利で、袋の中に材料を入れて混ぜて、絞り口から絞れる。

アヤ:それいいよね! 子どもでも自分で簡単にできちゃう。

カナ:キャンプでも、日頃の朝ごはんやおやつでも活用できると思います。

防災食、非常食として売っているものも、最近は美味しいものが多いですよね。
ある意味では非常食だと思って、「今日、冷蔵庫に何もなかった!」という日常のピンチの時にも食べています。日常食にするには正直安くはないですが、だからこそ「今日は贅沢しちゃえ」という気分で。ご褒美になるくらい、お気に入りのフリーズドライ食品なんかを見つけて備えておきます。

私たちはドライフードの本(※2)も出しているのですが、今回の本でもドライフードについて触れています。普段のおやつはもちろん、噛み応えがしっかりあって少量でも意外とおなかが膨れるので、災害時の非常食にもおすすめです。

▲『ラクして備えるながら防災』より

カナ:アイテムだと、保冷力・保温力が抜群な水筒も日頃から使っているといいですよね。ライフラインが止まる予測ができる時は、急いでお湯を沸かして入れておく。あと、カセットコンロは災害時には必需品だと思います。キャンプをされる方はシングルバーナーなどいろいろなタイプをお持ちだと思いますが、普段からそれを使っていれば、いざという時にも使い方に慣れていて、燃料であるガス缶のローリングストックにもなりますね。

では、最後に衣食住の「住」をマミからお願いします。

(※2『うまみがギュッ! 干すだけ簡単 はじめてのドライフード』山と溪谷社

 

■暮らしに豊かさをプラスする「住」の話

マミ:CAMMOCがデザインした「LaLa」というテント、私たちの最高傑作を紹介させてください!
なぜ防災でテントが役立つのかということですが、必要だと想定されるシーンが大きく2つあります。

まずは家屋が倒壊して家から出なければならなくなり、近くの公園や学校の校庭にテントを立てて「住環境として使う」こと。まさにキャンプ。家族みんなでとなると、なるべく大きいテントが必要にはなり、キャンプ経験があるとなおいいですね。
「LaLa」のように小さめで自立式のテントは屋内の避難所のなかで役立ちます。それで「プライベート空間を作る」こと。ペグを打たなくても立てられる自立式は女性ひとりでも簡単に設置できます。プライベート空間がないと精神的にダメージを受けて疲れが生じたりすることがあるんですね。でも、こうしたものがあるだけで心が休まります。
熊本地震の被災者に話を聞いた際、配給されたアイテムのなかでテントが一番よかったという声もありました。キャンプでテントを立てたことがある、寝泊まりをした体験がある、というのが心の安心につながるかなと思います。

▲『ラクして備えるながら防災』より

マミ:キャンプでテントを使用するのはもちろんですが、日常で子どものお泊まり会とか、コロナ禍におうちキャンプなんていうのも流行りましたが、そうやって日頃から使ってもらえたらと思います。仕事に集中したい時にテントにこもる、なんて使い方もいいですね。

アウトドア用品の「寝袋」もいろいろなタイプがあります。開くと1枚の布団のように広がるものもあるので、普段から布団代わりにしたり、ソファでブランケットとして使ったりできますよね。車に入れておいてブランケットとして、車中泊の際の布団として使うのもアリです。冬場に雪で立ち往生なんていう場面もあるかもしれないので、あると心強いと思います。
この寝袋を普段私たちはどうしているかというと、インテリア用品店で購入したクッションカバーに入れておくんです。おうちでも車内でも普段はクッションになり、すぐ手に取れるところに置いておいて何かあれば出す。そうやっておうちのインテリアに馴染ませられるといいですよね。

▲『ラクして備えるながら防災』より

それから「ランタン」もおすすめアイテム。最近はインテリアとしておうちに飾りたいような、おしゃれでかわいいものがたくさん出ています。LEDで充電式のタイプが使いやすいので、お好みのデザインのものをぜひ探してみてください。
停電した時、暗い部屋でも置き場所がわかっていて取り出せないと持っていても意味がないので、普段から部屋に飾っておきたいものを選ぶといいと思います。

 

■イベントを終えて

「防災に取り組まなければならない」と考えている人は多くいます。その考えを持てるのであれば、何のために、なぜ、「ねばならない」なのかを考えてみてほしいと思います。
異常気象も身近なものとなり、私たちを取り巻く環境は変わり続けています。これまで災害が起こったことがないような地域で河川氾濫や土砂崩れが起き、大人が幼少期を過ごした頃とは様子が異なる環境下で子どもたちは育ち、四季の長さが変わり、農作物の生産地や生き物の生息地も変わっています。
「日常」や「通常」は時代とともに変わっていくのです。
これからの日常を自分が「どう暮らしていきたいか」を考えていけば、防災は自然と暮らしのなかに馴染ませていくことができるのではないでしょうか。
本書には、それを体現した暮らしがまとめられています。この本の読者が防災の本質に向き合い意識が備わることに期待し、より豊かな日常が続くことを願っています。

 

【書籍について】
ラクして備えるながら防災 フェーズフリーな暮らし方
著者 CAMMOC
発行 辰巳出版
定価 1,650円
発売 2024年8月30日

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CAMMOC(キャンモック)

マミ、カナ、アヤの3人のママキャンパー。防災士やキャンプインストラクターの資格を有し、「キャンプのある暮らし」をテーマに地球の未来を創造する会社を運営する。キャンプ歴はそれぞれ20年以上。自分に合う暮らしや防災を探求し、キャンプを通して無理なく無駄なく楽しみ続ける防災法を提唱するほか、テレビ・ラジオ出演、執筆やイベント登壇など、幅広く活躍する。

https://www.instagram.com/cammoc/

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