みんなアソコで悩んでる! 産婦人科医が答えるQ&A
性器、それから性に関する悩みは、どこで相談すればいいのでしょうか? 友人や家族には話しにくいと感じる人は多そうです。また、相手が答えられるともかぎりません。多くの人は知る機会がないまま、大人になっています。
距離感がある人のほうが話しやすい、そして女性の身体について専門的知識をもった人のほうが具体的な解決策を提示してくれる可能性が高そう……と考えると、答えは「婦人科」です。
婦人科は妊娠出産だけでなく、生理、セックス、ニキビ、そして性器のことまでいろんな悩みを相談していいところ。婦人科医は女性の身体のエキスパートです。
ここでは「婦人科でこんなこと相談していいのかな?」と思われがちな悩みを、一問一答にしました。
より詳しく知りたい場合は、お近くの婦人科へ。
Q 彼から「アソコがヘン」といわれました。私のアソコってヘンですか?
A みんな個性的。ヘンな性器なんてナイ!
性器の形や色はどれひとつとっても同じものがなく、違っていて当たり前。それが個性です。
「恋人からヘンといわれた」という悩みも聞きますが、産婦人科医は日々おびただしい数の性器を見ており、そのうえで「ヘン」な性器はないと断言できます。
誰かと比べて違うという意味なのかもしれませんが、顔でも体型でも性器でも、容姿を人と比べること自体が失礼な行為です。
いわれた側は傷つくだけ、ということが広く知られてほしいです。
Q アソコが黒ずんでいます。遊んでいると思われそうで心配です。
A ホルモンの影響で、黒ずむのが自然です
黒ずみを気にする女性はとても多いです。
女性ホルモンの増加によりメラニン色素が増えるため、個人差はありますが性器周辺の色がほかと比べて色濃くなります。
性経験はまったく無関係で、「大人の女性なら当たり前」なのです。
また、摩擦や締め付けによって色素が濃くなることもわかっています。
きつすぎる下着やボトムスを着けない、お風呂上がりにタオルでごしごしこすらないなど気をつけることが、さらなる色素沈着の予防につながります。
Q 自転車に乗るとアソコが痛いです。
A 小陰唇を圧迫して痛みが出ている可能性も
小陰唇が大きい、または長くて、自転車に乗ったりタイトなジーンズをはいたりすると痛い、下着からはみ出すといったことで悩む人は少なくありません。
原因はさまざまで、もともとその人の個性である場合や、かゆみが出たとき強くかく、出産や加齢などの場合が考えられています。
見た目が気になり、強いコンプレックスになることもあります。
病気ではありませんが、困っていることがあるなら、婦人科や婦人科形成クリニックで相談してみてください。
「小陰唇縮小術」などの解消法があります。
Q おしっこをすると飛び散る私はヘンですか?
A 小陰唇の大きさが左右で違うのかもしれません
排泄されたおしっこは小陰唇にもふれながら流れていきますが、小陰唇の大きさや長さに左右差があると、思わぬ方向に飛びやすくなります。
特に和式トイレは困ります。
左右差は誰にでもあるもので、それ自体が悪いわけではありません。ひとつの個性ともいえます。
けれど、日常生活で困っているなら「小陰唇縮小術」があることを知っておくといいでしょう。婦人科形成のクリニックで提供されている手術で、ビラビラの部分をメスやレーザーで切除し、小さくしたり左右対称にしたりする手術です。
Q 「名器」って本当にあるんですか?
A 満足度は、女性器の状態では決まりません
腟内に指を挿れるとわかりますが、内側はザラザラしていたり細かい凹凸があったりします。
名器を「男性が性的に気持ちいいと感じる女性器」とするなら、男性器の快感は摩擦によるところが大きいため、状態によって気持ちよさが変化することはありえます。
しかしセックスの満足度はそれだけで決まるものではなく、体調やコミュニケーションもあわせた総合的なもの。
一方的な評価は気にしなくていいのです。
Q 上付き、下付き……私はどっち?
A 多少の差はあっても特に影響はありません
腟口と肛門のあいだを「会陰」といい、ここが長い人を上付き、短い人を下付きとするようです。
これは医学用語ではなく、医療の視点から会陰の長さに注目することはほとんどありません。
日常生活に差が出ることも考えにくいです。
セックスのとき感じ方が違うという言説もあり、たしかに挿入の角度や深さは感じ方を左右しますが、それは会陰の長さより、お互いの体格、体位、性器のサイズなどからの影響のほうが大きいでしょう。
気にしなくていいと思います。
本書には他にも、においやかゆみ、生理のつらさなど、女性特有のお悩みの原因と対処法をたくさん解説しています。インターネットですぐに検索できる時代だからこそ、「正しい情報」にアクセスしてほしい――『産婦人科医が教える みんなのアソコ』には、女性が自分の身体を正しく知り、自分の身体を肯定できるように、大切な情報がギュッと詰まっています。
『産婦人科医が教える みんなのアソコ』
髙橋怜奈・監修
竹井千佳・イラスト
辰巳出版
定価1,650円(本体1,500円+税)
A5判 160ページ
【監修】髙橋怜奈
(イラスト 竹井千佳)