続・アナログレコードにまつわるエトセトラ【第7話】重いレコードも軽々!レコード運搬術

名著『アナログレコードにまつわるエトセトラ』がWEB連載で復活! ディスクユニオン店長兼バイヤーがいざなう、さらにディープなレコード天国(地獄?)へようこそ!

レコード運搬術、それは私たちバイヤーの生命線 in ケルン。

 

レコードって重い。別に軽めのLPだったら1枚300gとかそんなものなんですが、それでも10枚だったら3kg、50枚だったら15kg……そりゃあ重いはずです。

とはいえ、レコード・ラヴァーたるもの、なんだかまとまった量を運ぶ必要というのがあるもの。DJ(楽しい)、大量購入(楽しい)、引越し(苦しい)、買取持込(苦しい)……なんかしらの必然性があって、エイヤと気合を入れなければいけない時が訪れるのです。

ということで、今回はそんな時にきっとアナタを助けてくれるはずの、「レコード運搬術」を伝授したいと思います。ただ、ここでは持ち方のコツみたいな、引越し屋さんのテクニック的なことではなくて、イージーに運搬するための便利な道具をご紹介したいと思います。

すべてのアイテムはプロのレコード・バイヤー(兼アマチュアDJ)である私が、多種多様なものを実際に酷使してたどり着いた結果ですので、安心してお使いいただけるとは思いますよ……信じる者は救われる!

 

専用バッグで運搬して、そのまま販売する時の展開例。

 

レコードを運搬するとなれば、やはりまずはバッグやリュックの存在が選択肢に上がってくると思います。ただ、選ぶ際にはいろいろと考慮すべき点があるもの。重いレコードに耐え得るタフさ、持ったり背負ったりした時の着用感、カートリッジケースなんかの小物も入れられる収納性、急な雨をしのいでくれる耐水性、そしてどうせなら欲しいクールなビジュアル……まぁ、いろいろ考え出したらキリないんですけどね。

とはいえ、レコード・バッグなんて、世の中的には超がつくニッチ・マーケットで、選択肢はすこぶる限られているのです。さっき挙げたポイントをできるだけ満たしにいこうとすると、やはりレコード・バッグ専業ブランドが候補になってくると思うんですが、なかなかに立派なお値段がするんですよね……。もちろん、ゴリゴリに使い倒すヘビー・ユーザーであれば良いんですが、ライト層の方とか、周りのモノはできるだけ安く済ませたい(≒ちょっとでもレコードそのものにお金を回したい)方とかには、ちょっと合わない気もします。

ともなれば、そんな方々にアハ体験をさせるかのような、目から鱗のレコード・バッグをご紹介しましょう!

 

 

■無印良品「保冷バッグ M」

そう、それがみんな大好き「無印良品」がお送りする、渾身のレコード・バッグです……って、嘘です。すいません。

ただ、決してレコード用ではないんですが、そのあまりにジャスト・フィットする仕上がりから、私は「確信犯的レコード・バッグ」と呼んでいるブツなのです……。

では、レコード野郎たちがあらがえない、その溢れんばかりの魅力をご紹介しましょう!

まずはビジュアル。3色展開の至ってシンプルなデザインですが、それが故にソリッドでクール、かつ高見えもします。持ち手は7インチをパンパンに入れても余裕な補強があり、肩掛けもあるので持ち運びもオキラクゴクラク。

そして、一番大事な内寸ですが、これがまた7インチに嘘みたいにシンデレラ・フィットして、約40枚ほどキレイに収納できるのです……うーん、コレは狙ってる!?

 

 

上ぶたにはアダプターとかを入れられる収納スペースがあり、内側にもちょっとしたポケットが付いています。あ、一応ですが、写真に写ってる7インチは、やっぱり(?)全部ソ連ファンクです。

そして、一番肝心なプライスなんですが……なんと爆安の2,490円! この手のグッズの専門会社製だったら、1万円ぐらいはしちゃいそう……鬼コスパ!

いや〜、やっぱりコレって無印さんも絶対狙ってますよね⁉︎ だって、たまたまにしてはあまりにも隙がない仕様なんですよねぇ……って、そんなことないか。

ちなみに、しばらく酷使して気づいたことを共有しておきましょう。どうせならカートリッジ・ケースも入れるとこがあればなぁ……なんて思ってたんですが、解決方法は至ってシンプルでした。上ぶたは高さがあるので、ただレコードの上にポンと置いておけばスッキリ収納できたのです。最高。

 

ちょっとこんもりしますが、厚めのカートリッジ・ケースもふたが閉まります。

 

あと、最後に注意事項です。この商品は「Lサイズ」も存在していて、一見「こっちはLPが入るんちゃうん〜⁉︎ ニクイねぇ!」なんて思っちゃうんですが、そっちはシンデレラ・フィットというワケにはいきません。

少量なら斜めにして入れられるんですが、ある程度の枚数を入れると、ちょっと高さが足りなくて上ぶたが閉まらなくなるんですよね……。まぁ、私たちが無理矢理レコード・バッグにしようとしているだけなので、無印良品にはなーんも罪はないんですけど。無印さん、いつもありがとうございます!

ただ、無印良品の素晴らしさ(=恐ろしさ)はこれだけに留まらないのです……。

 

 

■無印良品「肩の負担を軽くする 撥水 上から開く リュックサック」

ありました。LPサイズにもバッチリなヤツが。一応入るとかではなくて、これまたシンデレラ・フィット!

こちらはLP30枚程度収納可能なリュックなんですが、同じくシンプルなデザインで使い勝手抜群。上ぶたの形状も天面開口で、レコードのことを考慮したんじゃないかっていうぐらい最高です。

フロントと上ぶたには大きめのポケット、サイドにはペットボトル収納✕2、内側にも仕切りポケットが内蔵と、DJにまつわるものが楽々収納できます。

加えて、撥水加工が施されていて、オリジナルの肩紐は肩の負担を軽減する設計と、本当に至れり尽くせりの仕様です。もちろん、お値段も5,990円(税込み)と、相変わらず圧倒的なコスパを見せつけてくれますしね。無印さん、本気リスペクト!

 

LPなら30枚なんてゆったり収納。

ちなみに、すごいニッチな使用例ですが、ポータブル・プレイヤーだってすっぽり入ります。あと高さもあるんで、仕切りも余裕で入ります。マジで有能。

果てしない石畳の坂も、山善が相棒なら大丈夫。こう見えてレコード200枚入ってます。

 

■山善「パワーキャリーカート60」

最後はバッグではなくて、もっと大量のレコードを己の五体で運べちゃう、プロ・スペックのキャリーをご紹介しましょう。

私たちはレコ箱をキャリーに載せたりして運ぶんですが、やっぱりレコード専用なんていう都合の良いものは存在しません。あくまで代用です。

ただ、私は今まで多種多様なキャリーを酷使して、(勝手に)みなさんのために人柱となってベスト・アンサーを発見したのです。ということで、そんな最終回答的な本品のオススメのポイントを3つに分けてご紹介してみましょう。

【ポイント①】 大きいタイヤ

水たまり、石畳、砂利……ありとあらゆる国と場所を重いレコードとともにこの手と足で踏破してきましたが、その時最も重要なキーとなるのはタイヤの大きさです。類似品は小さいものばかりですが、これぐらいの大きさが欲しいところですね!

【ポイント②】 優秀なフレーム

レコードって数が集まれば本当に重いもの。細いフレームだと速攻でへしゃげますが、こちとら耐荷重60kg、まったくの無問題。LP箱✕2、7インチ箱✕1ぐらいは運べます。

また、キャリー自体が大きすぎないので電車にも持ち上げて乗れるし、コンパクトに折り畳んでトランクにも入るしで、まさに隙なし万能です!

【ポイント③】 浮き底

このキャリーにも対抗馬が存在します。それは「マグナカート」という素晴らしいキャリーなんですが、1点大きな違いがあるのです……それは底面が地面から離れているかどうか。

これがどういった効果があるかというと、地面が濡れていても大丈夫ということ。これは水にすこぶる弱いレコードにとっては大事なことなんです。

 

LP2箱、シングル1箱、ポータブルプレーヤー1台、本、CD等々を電車運搬中……。こんなムチャクチャな使い方しても無問題!

 

ここまでそろって値段も5,000円以下。数年酷使してもへこたれない堅牢ぶり。まぁ、控えめに言って最高なんで、レコードを大量に持ち運ぶ必要のある(ごく一部の)方は使ってみてください。

あと、最後に使用法のヒントも残しておきます。キャリー使用時に天候が怪しい場合は、大きいゴミ袋を忍ばせておけば安心です。けっこうな雨でもガバッと被せちゃえば、レコードもダンボールもバッチリ守ってくれます。また、そもそもダンボール製のレコ箱ではなくて、プラスチック製の収納箱を使うのもアリです。折り畳めるとなお良し。

ただ、私とて日本ではまだちょうどいい具合の商品を見つけられていません。海外ではいろいろあるんですが。なにか流用できるものがあると思うんですけどねぇ……どなたか教えて!

 

これからバルト三国へDJしに行く時の装備。なお、ダンボールは書籍です。

 

ここまで言っておいて最後にちゃぶ台をひっくり返すようなんですが、レコード・バッグ専業ブランドのアイテムはやっぱりハンパじゃありません。かくいう私も、メインではUDGの「U9981BL Ultimate スリングバッグトロリーデラックス」というのを使っています。

私がさっきまで挙げていたポイントはバッチリ押さえていますし、飛行機に手荷物で持って行けるギリギリの最大サイズなので、我が子のように大事なレコードたちと一緒に、安心安全に海を渡ることもできます。ただ、問題は値段、36,300円という立派なプライスがネックになるだけなのです。

もちろん、何を選ぶかはアナタ次第ですが、選択肢は多いに越したことないのです。私のオススメも参考にしながら、自分にピッタリのレコード運搬術を見つけてみてくださいね!

では、また次回!

※掲載の価格はすべて公式サイト参照、2026年6月現在のものとなります。

■編集=大浦実千
■バナーデザイン=柿沼みさと

【書籍紹介】


『アナログレコードにまつわるエトセトラ』
著者 山中明
発行 辰巳出版株式会社
定価 2,530円(本体2,300円+税10%)
発売日:2023年4月24日
体裁:A5判/208ページ(オールカラー)

本書の購入はこちらから
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4777829723/
楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/17426763/

【著者プロフィール】
山中 明(やまなか・あきら)
■ レコード・バイヤー/ライター/漫画家

1979年生まれ。神奈川県出身。2003年より(株)ディスクユニオン所属。バイヤーとしてレコードを追い求める日々の傍ら、レコード文化の発展に寄与すべく各種媒体にてコラムや漫画を執筆中。著書にソ連音楽ディスクガイド『ソ連ファンク 共産グルーヴ・ディスクガイド』、『アナログレコードにまつわるエトセトラ』、『レコードジャンキー富和 孤高のアナログ・レコード・コレクター』、編著に日本初のサイケデリック・ロック・ディスクガイド『PSYCHEDELIC MOODS‐Young Persons Guide To Psychedelic Music USA /CANADA Edition 』などがある。

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