「介護=苦労」だけなのか? 介護をめぐる悲劇を避けるために『認知症介護の話をしよう』が教えてくれることとは

家族の悩みは他人に話しづらい、ましてや介護のことならなおさらです。
だから介護は1人や家族の中だけで抱え込みがちです。

1人や家族の中だけで抱え込んでいると、「介護=不安・つらい・大変」になってしまいます。
そんな精神状態のままで介護者が無理をすると介護は破たんします。

今回は、そのような介護をめぐる悲劇を避けるために、いま介護をしている方はもちろんのこと、まだ介護が始まってない方にもぜひ読んでほしい『認知症介護の話をしよう』をご紹介します。

介護のために自分の人生を犠牲にしてはいけない

本書は、若年性アルツハイマーの母を20年近く介護するフリーアナウンサー・岩佐まりさんが出会った、認知症になった家族と生きる10人の物語です。

家族が認知症と診断されるまでの悩み、介護のはじまり、介護の日々、現在、そして介護を通して感じたことが丁寧に語られており、まだ介護を始まってない人にも想像しやすく、とても参考になります。

語り手も親を介護した人、夫や妻を介護した人、ヤングケアラー……と多種多様でいろいろな介護のカタチを知ることができるのもポイントです。

それぞれの語りの後は、全国で介護の講演会を行う著者による【解説】で構成されており、
明日からの介護生活に役立つ、具体的なアドバイスも満載なところがうれしいところ。
介護休暇やお金のこと、ケアマネージャー、家族会のことなど、知れてよかったと思う情報がつまっています。

この本で現実を知ることで、認知症になった家族との向き合い方、介護の考え方がガラリと変わるかもしれません。

そして、著者が何度も語る「介護をする人は、介護をされる人のために、幸せにならなければいけない」という言葉は、介護に向き合う人々にとって希望となるでしょう。

 

書籍:      認知症介護の話をしよう
著者:      岩佐まり
定価:      1,650円(本体1500円+税)
体裁:      四六判/224ページ
ISBN:  978-4-528-02394-9
発売日:   2023年2月1日
発行:      日東書院本社(辰巳出版グループ)

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岩佐まり

フリーアナウンサー、社会福祉士。
55歳の若さで若年性アルツハイマー型認知症と診断された母を、20歳のころから19年に渡り介護している。現在は、要介護5となった母と夫との3人暮らし。
在宅介護を支援するための個人事務所として「陽だまりオフィス」を立ち上げ、介護に関する相談の受け付けや、全国での講演会活動を行う。
2009年よりブログ「若年性アルツハイマーの母と生きる」を開始、同じ介護で苦しむ人の共感を呼び月間総アクセス数300万PVを超える人気ブログとなる。 その後数々のテレビ番組でも特集され話題となり、2021年、TBSドキュメンタリー映画祭にて「お母ちゃんが私の名前を忘れた日 ~若年性アルツハイマーの母と生きる~」が上映される。著書に『若年性アルツハイマーの母と生きる』(2015,KADOKAWAメディアファクトリー)

 

 

 

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