【第3回】こっち側の腹減りマウスホーン 鳥もまだまだ寝静まっている丑三つ時。 目覚まし時計もなく、僕は自然と目覚める。 これは習慣というか、クセといってもいいだろう。 『夏は朝日の昇りが早いよね』とか。 『冬は遅くなったね』とか。 そんなことすら確認のとれないほどの漆黒の風景。最近は、窓をあけ漆黒の外に息を吹きかけ、その白さなどで大まかな季節を確認する。 どうやら今日も夏のようだ。 屋根裏部屋のようなココは母の胎内のように居心地が悪く、まともに熟睡などしたことはない。 薄暗く湿気まみれ、鼻をつん裂く匂い。 ...