保護犬たちの物語【第5話】みるくてぃ(1歳) 土曜日のとある公園。春はまだ浅いけれど、ベビーカーを押している笑顔の絶えない若いふたりには、午後の光がやわらかくふり注いでる。 ベビーカーの中からは、こげ茶とうす茶のツートンカラーの犬がちょこんと顔をのぞかせていて、二重まぶたのように見える愛らしい目で空を見上げたり、すれ違う人を見つめたりしている。 彼女の名前は、「みるくてぃ」。まだ成犬になりきっていない大きさである。 みるくてぃは、想一朗さん・まみさん夫妻の、自慢の「娘」だ。パパが休みの日は、こうしていろん ...