保護犬たちの物語【第14話】ラッキー(推定14歳) ウオーン、ウオォーン! きのうもきょうも、どこからか聞こえてくる哀しげな犬の鳴き声。 「どこかのお宅で飼い始めた犬が、まだ慣れないから鳴いているのだわ」 洋子さん・梓さん母子はそう思っていた。昨年の夏の初めのことだ。だが、何日もその声は続き、哀切の響きを増してくる。気になっていると、近所の人からこんな話を聞いた。「向こうの路地のアパートで、犬が置き去りにされているんだって」 洋子さんは、近所の方たちと協力し合って、地域猫のお世話を長年続けている。自宅には ...