【第10回】セットアップ 僕は砂浜に横たわるように眠っていました。寝ている間もザッザッと音が聞こえるのは、他のゾンビたちが砂の上を歩いているから。 うっすら、ほかのゾンビたちのテレパシー会話が僕の耳に届いています。ゾンビのわりにキャッキャはしゃいでいるような会話でストレスを感じていると、希望ともとれる言葉が耳に入ってきました。 北に500キロほど行った街に、ゾンビを人間に戻せる医者がいる。 『2時間ほどの手術で治せるって』 『マジかっ』 『マジでマジか?』 『マかっ』 『行くっきゃないよねぇ』 『マル決よ ...